「忘れる」メカニズムを理解して復習の効率を高めよう
試験対策において繰り返し学習することの内容については、「コレ!って決めたらとにかく繰り返すべし」の記事で紹介させて頂きましたが、より記憶効果を高めるためには「忘れる前に復習する」という行動が必要になってきます。
この「忘れる前に」という内容をひも解くにあたり、「エビングハウスの忘却曲線(ぼうきゃくきょくせん)」という理論が非常に有効になってきますので、この記事ではこの内容について掘り下げたいと思います。
エビングハウスの忘却曲線って何?
ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスという方が、記憶の持続に関する実験として、意味のない3つのアルファベットの羅列(られつ)を被験者にたくさん覚えさせ、その記憶がどれくらいのスピードで忘れられていくかを検証しました。
その結果をグラフ化したのが「エビングハウスの忘却曲線」です。
この実験より、人間は時間の経過と共にある一定の割合で記憶したことを忘れていくという結果が出ております。
記憶してからの時間 | 記憶している割合 | 忘れていく割合 |
20分後 | 58% | 42% |
1時間後 | 44% | 56% |
1日後 | 26% | 74% |
1週間後 | 23% | 77% |
1ヶ月後 | 21% | 79% |
悲しいかな、せっかく憶えたことも1時間も経てば半分以上は忘れてしまうんですね。。。
ただ、1時間経っても憶えていること関しては、そこからゆっくりと忘れていき、比較的長い時間、記憶として残ることがこの結果から読み取れます。
再認可能忘却と完全忘却を踏まえた復習タイミング
記憶が保てる期間については、上の説明でご理解頂けたかと思いますが、コレだけ見ると復習は適当なタイミングで行えば良いようにも見えます。
ただし、エビングハウスの忘却曲線には表れていない要素として「忘れ方」というのがあります。
この忘れ方には、再認可能忘却(忘れてしまっているがきっかけがあれば思い出せる忘れ方)と完全忘却(最初から記憶していないに等しい忘れ方)の2種類があります。
記憶してから最初のうちは再認可能忘却として忘れていきますが、ある一定期間を超えると再認可能忘却が完全忘却に昇格してしまいます。
この昇格のタイミングについては、個人差があるとされていますが、色々な情報を見る限り記憶してから1週間というのがひとつの目安と言われてます。
また、再認可能忘却と完全忘却とでは、思い出す時間にも大きな差があります。
例えば最初に10分かけて記憶した内容を再認可能忘却の状態で復習した場合、思い出せるきっかけがある状態なので半分以下の時間で復習は出来るでしょう。
そこえきて完全忘却の状態では、エビングハウスの結果で試算しても80%は最初に記憶した時と同じ時間がかかってきます。
そう、完全忘却になってしまうと復習効率がメチャクチャ悪いんです。
この事実を踏まえると、復習に適したタイミングという意味では、1週間以内にする、というのが答えになってきます。
ただ、先ほど書いた通り、再認可能忘却が完全忘却に昇格するタイミングはには個人差があるので、1週間後に復習したが内容を全く憶えていない場合は、復習する間隔を短くするなどして、自分自身の特性を踏まえたうえで復習するタイミングを見定めるようにしましょう。